野生医師@経済的自立を目指す勤務医

お金にこだわらず、趣味で勉強しながら医師をするために経済的自立を目指しています。年利10-20%を目標に運用しています。2020年は資産所得300万円/年を目指します。

医局不要論①

私が医局に入らなかった理由について書いてみようと思います。
まず、現在の医局について少し説明します。医局というのは、大学にある医師の組織で、多くは診療科ごとに設置されています。医局の役割は大きく2つあります。

一番の役割は、関連病院に医師を派遣することです。関連病院から医局側に報酬が支払われることも多く、これが医局の収入源となっています。医局の収入は、「研究費」として消費されます。従って、医局側からすると、派遣先を多く抱えておいた方がよく、そのためには医局員は多いほど良いということになります。そのため、医局によっては、学生勧誘担当のポジションを置いて、部活の勧誘さながらに医学生を飲み会漬けにして勧誘するところもあります。

医局と関連病院の関係も複雑です。関連病院からすると、医師を安定供給してくれる医局はありがたい存在です。従って、医局からの派遣を打ち切られないよう、どうしても医局に対して立場が弱くなります。

聞いた話ですが、ひどい医局では、「別の系列の病院からバイトを受け入れるのであれば、うちの大学の医局派遣を全部引き上げるから」と関連病院に脅しをかけることもあるようです。なんという時代錯誤でしょう。確かに医局によって支えられる地域医療があることは事実ですが、それを逆手にとって独占しようとするなんて言語道断です。恐るべきことは、こんな時代遅れで幼稚なことを行っているのに、自分たちの行っていることが普通だ、と思ってしまうことです。長い間その文化に使っていると、正常な判断もできなくなってしまうようです。特に、地方の医大にその傾向が顕著です。


医局のもう一つの役割は、医師を教育することです。医局へ入るタイミングは、大学を卒業後2年間研修医として働いてから入ることが多いです。まだ専門知識も身についていない医師たちを、様々な病院へ派遣し、それぞれの病院で経験を積ませることで一人前にしていく、というのが医局のやり方です。

しかし、当然病院によって経験に差がでます。A病院は忙しく、症例数を多く経験するが、B病院はヒマなだけ、というのもよくあります。若手には経験の積めるA病院の方がいいのですが、医局には同級生がいます。派遣される病院の候補は限られているので、良い条件の場所が自分に回ってくるとは限りません。「この病院に行きたいと思っていたのに…」、「今の病院にもう少しいたいのに来年からは大学に戻らないと…」などという愚痴はよく聞きます。

こんなことで思い通りにならないのであれば、自分で病院を選べばいいのです。現在なら病院の情報はいたるところにありますし、病院見学も可能です。自分の進みたい分野にあわせて病院を選び、自分のスキルや知識を伸ばすべきです。専門職なのですから。

医局が最も愚かだと思ったのは、「同期が多いから大学院の進学を1年間遅らせないといけない」と聞いたときです。みんなが一度に大学院へ入ってしまうと、医局が抱える臨床医の数が一気に減ってしまうため、派遣先の病院に顔が立たないというのが理由です。そんな医局側の都合に合わせて、自分のキャリアを調整する必要があるでしょうか。