野生医師@経済的自立を目指す勤務医

お金にこだわらず、趣味で勉強しながら医師をするために経済的自立を目指しています。年利10-20%を目標に運用しています。2020年は資産所得300万円/年を目指します。

【書評】地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減★★★

地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減(増田 寛也
増田レポートの特徴は、人口の自然減少に加えて、社会的な人口移動をシミュレーションに含んだことです。これにより、多くの地方が消滅するという衝撃的な「未来」を描き、注目を浴びました。 筆者は、これでいいと言うわけではなく、対策を考え、以下のような「人中心の政策」を考えています。
  ●人口の維持・発展   ●人口の再配置   ●人材の養成・獲得

具体的には、「地方中核都市をつくって、そこに資源を投入する」というのがメインです。
若者を呼ぶために
  ●都市を効率的に。そのために、GISを用いて医療・福祉・買い物・商業・交通に関する地理空間情報をオープンデータ化する。
  ●インターネットを用いたEエデュケーション
  ●圏域内の異業種間交流ができるコミュニティの形成

中高年の移住を促すために
  ●医療・福祉の充実を
  ●定年帰農の症例
  ●ふるさと納税などを通じて、地方移住への関心を高める。

地域経済のこれから
地域経済とは、ざっくり、年金、公共事業、「自前」の産業が3分の1ずつで回っている。それが、今後ローカル経済圏を形成していくと筆者は述べます。

  ●中心は医療・福祉、バス、水道、教育
    いずれも人口減少にともないマイナス成長となるが、「医療・福祉」には可能性がある。
  ●攻めるためには、域外市場への展開をめざすべき
    他の地域にない特色 農林水産物や観光など
  ●スキル人材の再配置
    行き場を失った東京の人材を囲い込む
■生き残る地方都市の種類
筆者は、以下のような地方都市は生き残りやすいと分析しています。
  ●ベッドタウン
   横のつながりが重要になる。また、「子育てしやすい」など住民を呼びこむ方策も重要。      福岡県粕屋町→福岡市のベッドタウン      群馬県吉岡町高崎市前橋市渋川市ベッドタウン   ●学園都市型      愛知県日進市名古屋市豊田市ベッドタウンでもある)   ●コンパクトシティ      人、モノ、情報が活発に行き来し、新たな価値の創造、イノベーション
  ●公共財主導型→今後は厳しいだろう
■希望出生率の概念
筆者が書いていたなかで、面白いと思ったのは希望出生率という概念です。
「理想の子供数」、「結婚率」などから、「みんなが欲しいだけの子供を手に入れたときの出生率」を概算するという考え方です。
少子化は価値観が多様化したせいだ」という意見もありますが、希望出生率に近づける努力はしてもいいかと思います。

批判も多い増田レポートですが、どちらかというと批判を受けるために敢えてショッキングなデータを見せた、という印象を受けました。
炎上商法とは知りつつも、一度は読んでみてはいかがでしょうか。