【書評】地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減★★★
地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減(増田 寛也)
増田レポートの特徴は、人口の自然減少に加えて、社会的な人口移動をシミュレーションに含んだことです。これにより、多くの地方が消滅するという衝撃的な「未来」を描き、注目を浴びました。 筆者は、これでいいと言うわけではなく、対策を考え、以下のような「人中心の政策」を考えています。
●人口の維持・発展 ●人口の再配置 ●人材の養成・獲得
●人口の維持・発展 ●人口の再配置 ●人材の養成・獲得
具体的には、「地方中核都市をつくって、そこに資源を投入する」というのがメインです。
若者を呼ぶために
●インターネットを用いたEエデュケーション
●圏域内の異業種間交流ができるコミュニティの形成
中高年の移住を促すために
●医療・福祉の充実を
●定年帰農の症例
●ふるさと納税などを通じて、地方移住への関心を高める。
地域経済のこれから
地域経済とは、ざっくり、年金、公共事業、「自前」の産業が3分の1ずつで回っている。それが、今後ローカル経済圏を形成していくと筆者は述べます。 ●中心は医療・福祉、バス、水道、教育
いずれも人口減少にともないマイナス成長となるが、「医療・福祉」には可能性がある。
●攻めるためには、域外市場への展開をめざすべき
他の地域にない特色 農林水産物や観光など
●スキル人材の再配置
行き場を失った東京の人材を囲い込む
■生き残る地方都市の種類
筆者は、以下のような地方都市は生き残りやすいと分析しています。
●ベッドタウン型
横のつながりが重要になる。また、「子育てしやすい」など住民を呼びこむ方策も重要。 福岡県粕屋町→福岡市のベッドタウン 群馬県吉岡町→高崎市、前橋市、渋川市のベッドタウン ●学園都市型 愛知県日進市(名古屋市、豊田市のベッドタウンでもある) ●コンパクトシティ 人、モノ、情報が活発に行き来し、新たな価値の創造、イノベーション
●公共財主導型→今後は厳しいだろう
■希望出生率の概念
筆者が書いていたなかで、面白いと思ったのは希望出生率という概念です。
「理想の子供数」、「結婚率」などから、「みんなが欲しいだけの子供を手に入れたときの出生率」を概算するという考え方です。
批判も多い増田レポートですが、どちらかというと批判を受けるために敢えてショッキングなデータを見せた、という印象を受けました。
炎上商法とは知りつつも、一度は読んでみてはいかがでしょうか。