野生医師@経済的自立を目指す勤務医

お金にこだわらず、趣味で勉強しながら医師をするために経済的自立を目指しています。年利10-20%を目標に運用しています。2020年は資産所得300万円/年を目指します。

【医療】無給医さん、給与明細じゃなく確定申告書を見せなさい

無給医問題、意外と盛り上がりが続いていますね。

www.tokyo-np.co.jp

 

私は前述の通り、まったく同情しません。

yaseidoc.hatenablog.com

彼らが何も自分の頭で考えずに無給状態を受け入れているからこそ、大学病院の構造改革が進まないし、医学の発展が遅れてしまうのです。

 

加えて、本当にウソがあるなあと思うのは、誰も確定申告書を見せないことです。

 

だいたい、無給医というのは無給で大学病院に奉公する代わりに、割のいいバイト(忙しくない病院の当直で一泊10万円とか)をあてがってもらうことが多いです。

むしろ、医局から紹介される割のいいバイトのために大学では無給の人もいます

だから、メディアの方は無給医と自称する人たちに確定申告書を見せてもらったらいいと思います。

ほとんどの方が500-600万、下手すれば1000万以上もらっているでしょう。

これがわかれば、世論は一気に興味を失っちゃうだろうな。

もともと、常勤先での収入不足を非常勤でのバイトで補うことは、医師では当然です。無給医の方々は、その傾向が多少極端に出ているだけとも言えます。

 

この高額バイトは、医局と関連病院とのいびつな関係に起因するものです。

本来、医師は派遣業が禁じられており、医師を派遣することで利益を得ることが禁じられています。

しかし、医局は関連病院に医師を派遣することで、医局員のバイトを優遇させたり、ひどい場合には教授への上納金(指導料や診察料などという名目で)を納めているところもあります。よくあるのは、教授に週に1回外来のコマを持ってもらって、午前中で3人くらい患者さんを診てもらって、何十万円という診察料をお支払いする、という感じです。

※念の為言っておきますが、その価値はありません。その診療科で40−50代くらいで、エネルギッシュな中堅医師の方がよっぽど勉強していますし、医師としての能力も高いです。

 

この医局と関連病院とのいびつな関係は、地方の医療崩壊の一つの原因でさえあると私は思っています。

医局にとっては収入を確保するために関連病院の数を増やす方がおいしい、という事情があります。(この記事でいう、医局の収入とは、医局構成員への利益を指し、教授直接の上納金、医局への寄付金、上記で述べたような医局員への高額バイトなどすべてを含みます。)

したがって、地方の病院などに薄く人材を配置します。本来なら集約した方が医療レベルも上がって患者さんにも得になるところを、医局が病院数を維持したいためだけに、戦力を薄く配置するために医療レベルが下がってしまいます。

 

例えば、循環器内科という心臓の専門の診療科であれば、4人チームを1つの病院に派遣すれば、緊急カテーテルもギリギリ耐えられるくらいのローテーションを組むことができます。そうなれば、その地域で心筋梗塞が起きても助かる確率が上がります。しかし、医局からするとそれよりも2人チームを2つの病院に派遣する方が医局への収入は増えます。そのため、多くの地域では上記の場合、2人*2病院という、少数戦力がバラバラに派遣されている状態が生じます。そうなると、緊急カテーテルはできないので、地域の心筋梗塞患者は他の地域に転送しなければなりません。当然、治療が開始されるまでに時間がかかりますし、救命率も下がるし、後遺症が出る確率も上がります。

つまり、医局の財布確保のために地域の医療がないがしろにされているのです。

 

本当は、医師の流動性を高めて病院間競争に任せるのが一番いいはずです。いい病院が残り、悪い病院が淘汰される。それが一番患者さんにとってもいいことです。

地方の病院はあまりにも競争がなく、また医局の影響力が強いため、患者さんの方を向かずに大学医局の方ばかり向いています。

 

そもそも大学病院が人件費を削減する必要があるのも医師を必要以上に抱え込んでいるからで、抱え込む必要があるのは医師の人事権を医局が持ちたいからです。

 

ですので、この医局という非合法な存在を早く解体することが医療改革には重要です。

医師の流動性が高まれば病院の淘汰も進みます。

働き方改革も一気に進みます。

さっさと解体されないかなあ。

若手医師の思考停止が治まれば、自然と解体が進むと思うんだが。