【NEJM】心筋梗塞高リスクの人へ、スタチンに何か追加すると意味があるかもしれない
Ezetimibe Added to Statin Therapy after Acute Coronary Syndromes
スタチンがコレステロールを下げ、心筋梗塞の発症率を下げるのは既知の事実です。
特に、心筋梗塞患者などハイリスク群には、スタチンをたくさん投与してコレステロールを下げることが行われます。
しかし、スタチンの高用量投与による副作用(心不全、筋肉痛、横紋筋融解、神経障害
そして癌の発生が高まる?など)も議論になっています。
そこで、スタチンに追加してコレステロールを下げる治療法が求められています。
Ezetimibe(商品名:ゼチーア)は、スタチンに追加して23-24%ほどLDLコレステロールを下げる効果があると言われています。しかし、これが心筋梗塞に与える影響は明らかではありません。
この研究は、急性冠動脈疾患発症後にスタチンにEzetimibeを追加することを評価しました。
<方法>
Patient: 急性心筋梗塞で入院して10日以内の患者で、コレステロール降下治療を行っていてLDLが50-100 mg/dl、またはコレステロール降下治療を行わずにLDLが50-125 mg/dlの患者
Intervention: 「40mgのシンバスタチン+10mgのエゼチミブ」 を投与すると、
Comparison: 「40mgのシンバスタチン+プラセボ」 と比べて、
Outcome
Primary endpoint: 「冠動脈疾患による死亡、大きな冠動脈イベント(死亡しない急性心筋梗塞、入院が必要な不安定狭心症、30日後に冠動脈の再開通を行った)、死亡しない脳卒中」
Secondary endpoint:
「すべての原因による死亡、大きな冠動脈イベント、死亡しない脳卒中」
「冠動脈心疾患による死亡、死亡しない心筋梗塞、30日以降に緊急の冠動脈再開通」
「冠動脈血管疾患による死亡、死亡しない急性心筋梗塞、不安定狭心症による入院、30日以降の再開通術」
※coronary heart disease (CHD) とcardiovascular disease (CVD)は非常に似通っています。
日本語ではいずれも冠動脈疾患と訳しますが、実際は、CHDになる原因の1つにCVDがあるようです。
<結果>
「スタチン+エゼチミブ」では、LDLの中央値は53.7 mg/dlだった。
「スタチン単剤」では、LDLの中央値は69.5 mg/dlだった。
7年後のprimary outcomeは、
「スタチン+エゼチミブ」では32.7%
「スタチン単剤」では34.7%
<資金>
Funded by Merck; IMPROVE-IT ClinicalTrials.gov number, NCT00202878.
予想通りですが、メルク社による臨床研究です。
<感想>
臨床における行動を変えるほどには至らないな、という印象です。
endpointにあれやこれや入っているのがまず怪しい。
せめて、冠動脈疾患による死亡だけで勝負しなさいよ、と思います。
少しTableを眺めてみると、
Death from any cause、Death from cardiovascular causes、Death from coronary heart diseaseの3つはいずれも有意差が出ていない。
やっぱり。
まあ、製薬会社の臨床研究という感じの記事です。
スタチンがコレステロールを下げ、心筋梗塞の発症率を下げるのは既知の事実です。
特に、心筋梗塞患者などハイリスク群には、スタチンをたくさん投与してコレステロールを下げることが行われます。
しかし、スタチンの高用量投与による副作用(心不全、筋肉痛、横紋筋融解、神経障害
そして癌の発生が高まる?など)も議論になっています。
そこで、スタチンに追加してコレステロールを下げる治療法が求められています。
Ezetimibe(商品名:ゼチーア)は、スタチンに追加して23-24%ほどLDLコレステロールを下げる効果があると言われています。しかし、これが心筋梗塞に与える影響は明らかではありません。
この研究は、急性冠動脈疾患発症後にスタチンにEzetimibeを追加することを評価しました。
<方法>
Patient: 急性心筋梗塞で入院して10日以内の患者で、コレステロール降下治療を行っていてLDLが50-100 mg/dl、またはコレステロール降下治療を行わずにLDLが50-125 mg/dlの患者
Intervention: 「40mgのシンバスタチン+10mgのエゼチミブ」 を投与すると、
Comparison: 「40mgのシンバスタチン+プラセボ」 と比べて、
Outcome
Primary endpoint: 「冠動脈疾患による死亡、大きな冠動脈イベント(死亡しない急性心筋梗塞、入院が必要な不安定狭心症、30日後に冠動脈の再開通を行った)、死亡しない脳卒中」
Secondary endpoint:
「すべての原因による死亡、大きな冠動脈イベント、死亡しない脳卒中」
「冠動脈心疾患による死亡、死亡しない心筋梗塞、30日以降に緊急の冠動脈再開通」
「冠動脈血管疾患による死亡、死亡しない急性心筋梗塞、不安定狭心症による入院、30日以降の再開通術」
※coronary heart disease (CHD) とcardiovascular disease (CVD)は非常に似通っています。
日本語ではいずれも冠動脈疾患と訳しますが、実際は、CHDになる原因の1つにCVDがあるようです。
<結果>
「スタチン+エゼチミブ」では、LDLの中央値は53.7 mg/dlだった。
「スタチン単剤」では、LDLの中央値は69.5 mg/dlだった。
7年後のprimary outcomeは、
「スタチン+エゼチミブ」では32.7%
「スタチン単剤」では34.7%
<資金>
Funded by Merck; IMPROVE-IT ClinicalTrials.gov number, NCT00202878.
予想通りですが、メルク社による臨床研究です。
<感想>
臨床における行動を変えるほどには至らないな、という印象です。
endpointにあれやこれや入っているのがまず怪しい。
せめて、冠動脈疾患による死亡だけで勝負しなさいよ、と思います。
少しTableを眺めてみると、
Death from any cause、Death from cardiovascular causes、Death from coronary heart diseaseの3つはいずれも有意差が出ていない。
やっぱり。
まあ、製薬会社の臨床研究という感じの記事です。