ベテラン勤務医はどこで働くのか
以前述べたように、勤務医の競争は激化します。
勤務医に生産性、つまりどれだけ診療報酬で稼ぐか、を求められる時代になってしまうと、ベテラン医師の行き先はなくなってしまいます。
元気な方は若手と張り合うでしょうが、いくら当直数を稼いで、プライベートの時間を削ったところで、結局は若手と同程度の給与水準がもらえる程度でしょうし、健康のためにもよくありません。
ベテラン医師の働き方
ではベテラン医師の行き先はどこになるでしょうか?
①医師不足地域の勤務医
これは一つの有力な選択肢です。医師不足地域はまだまだたくさんあります。
そういうところであれば人件費も高いです。
地方に住むということに不便を感じなければ満足度は高いでしょう。
②教育者としての生き残りは難しい
私は教育者としての医師の将来は明るくないと考えています。
なぜなら、「病院(雇用主)にとっておいしくないから」です。
病院の収入は診療報酬であり、患者を診療して入ってくるお金です。
そこで教育者としての医師を査定するのは、医師調達コストをどれだけ下げられるか、です。
つまり、その人をめあてに若手医師が集まるような、スター級の有名医師であれば、医師確保のために雇ってもらえるでしょう。
しかし、中途半端な指導医では意味がありません。病院にとってはそれよりも馬車馬のように働く若手医師の方が大切です。
そしてときどきスター級の医師を呼んで勉強会でも開けばいいのです。
中途半端な指導医を常勤で雇うのはコストです。
おそらく医局や専門医機構などの既得権益側はベテランの雇用維持のために指導医の人数規制などを導入するでしょうが、市場原理に反したもがきが成功するとは思えません。
③開業医
経営リスクをとって、開業するのは昔からあるキャリアパスです。
特に、事業承継などでいい立地・かかりつけ患者数の多いクリニックを引き継ぐことができれば安泰でしょう。
初期投資を抑えて地縁や人脈も揃っているのなら、60歳で開業することも可能です。
有力な選択肢ではあります。
暗い未来ではありません。これが今後の現実になるでしょう。
これまでのように年功序列にあぐらをかくことはできません。
私のおすすめは、ベテランという年齢になったときには趣味として医師を生きるという方法です。