【書評】「お迎え」されて人は逝く★
(066)「お迎え」されて人は逝く: 終末期医療と看取りのいま (ポプラ新書) 奥野 滋子 (著)
速読系。
2015年8月3日と、最近出た本です。
筆者は緩和ケア科の医師で、これまで2500人をお看取りされたと言う。
その経験にもとづいて、現代の死生観について多方面からの考察があるのだ、と期待しました。
完全に期待を裏切られてしまいました。
筆者の考えがひたすら書いてあります。
曰く、「『お迎え』経験」をする患者さんが多いとのこと。
それは生前お世話になった人だったり知らない人だったりすると。
「せん妄」という意識障害とは別の状態なので、むやみに抗精神病薬の投与を行ってはいけない。
これが筆者の考え方です。
むやみな抗精神病薬、ベンゾジアゼピン系の投与がいけないことは分かります。しかしそもそも、終末期の患者さんが苦痛なしに幻覚を見ているからといって、即抗精神病薬の投与を行う医者もいないでしょう。
そもそも、死生観とは個人によって異なるもの。
多くの患者をお看取りされたのであれば、多様な価値観に触れているはずです。医師として、死生観に対して多面的な捉え方を出来なければ、患者さん自身の価値観に沿った治療方針を立てることは出来ません。
筆者の価値観を前面に押し出してしまっているこの本は、少なくとも医療者にとっては良書とは言いがたいです。
速読系。
2015年8月3日と、最近出た本です。
筆者は緩和ケア科の医師で、これまで2500人をお看取りされたと言う。
その経験にもとづいて、現代の死生観について多方面からの考察があるのだ、と期待しました。
完全に期待を裏切られてしまいました。
筆者の考えがひたすら書いてあります。
曰く、「『お迎え』経験」をする患者さんが多いとのこと。
それは生前お世話になった人だったり知らない人だったりすると。
「せん妄」という意識障害とは別の状態なので、むやみに抗精神病薬の投与を行ってはいけない。
これが筆者の考え方です。
むやみな抗精神病薬、ベンゾジアゼピン系の投与がいけないことは分かります。しかしそもそも、終末期の患者さんが苦痛なしに幻覚を見ているからといって、即抗精神病薬の投与を行う医者もいないでしょう。
そもそも、死生観とは個人によって異なるもの。
多くの患者をお看取りされたのであれば、多様な価値観に触れているはずです。医師として、死生観に対して多面的な捉え方を出来なければ、患者さん自身の価値観に沿った治療方針を立てることは出来ません。
筆者の価値観を前面に押し出してしまっているこの本は、少なくとも医療者にとっては良書とは言いがたいです。