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【JAMA】虫垂炎は合併症がなければまずは抗生剤治療

June 16, 2015, Vol 313, No. 23 >
Original Investigation | June 16, 2015
Antibiotic Therapy vs Appendectomy for Treatment of Uncomplicated Acute Appendicitis: The APPAC Randomized Clinical Trial

虫垂炎の治療について、まず手術をすべきなのか抗生剤で治療すべきなのか、比較した論文です。
医師でも判断に迷うことがありますので、大事な論文です。

<内容>
対象
合併症のない18から60歳の虫垂炎患者。合併症とは、以下の4つです。
appendicolith: 虫垂結石
perforation: 穿孔
abscess: 膿瘍
suspicion of a tumor on the CT scan: CT上腫瘍が疑われる

治療
外科治療…開腹虫垂切除、腹腔鏡下の切除も含みます。切開30分前に抗生剤予防投与(セフロキシム1.5 g+メトロニダゾール500 mg)を行い、それ以降は抗生剤投与は行っていません。
虫垂の筋層まで好中球浸潤があることを確認して虫垂炎の診断を確認しています。

内科治療…エルタペネム(長時間作用型のカルバペネム抗生物質のようです。)1 g/日を3日間、その後レボフロキサシン(500 mg×1/日)+メトロニダゾール(500 mg×3/日)の内服を一週間続けました。

Primary end point: 外科治療なく病院を退院し、1年間フォローして再発がないこと。
Secondary end points: 内科治療後の1年以上後の再発、入院期間や患者の病気休暇(the amount of sick leave)、VASスコアを用いた治療後の疼痛評価、鎮痛薬の有無

結果
外科治療の成功率は99.6%(272/273)、内科治療のうち256人をフォローして、27.3%(70/256)が1年以内に手術を受け、72.7%(186/256)は手術を受けなかった。
結果的に手術となった70名のうち、58人は合併症なしの虫垂炎、7人は合併症あり、5人は虫垂炎ではなかったが、再発のおそれがあったために手術となっていた。
ただ、内科治療が外科治療に対して非劣性を示すほどではありませんでした。

<感想>
この研究は、政府の研究費を使っています。
若い人に関しては、初発の合併症のない虫垂炎に対しては抗生剤治療が良さそうです。改善しない場合、再発した場合に手術しても、重大な合併症になるわけではなさそうです。
高齢者については、やっぱり早めに手術したほうが良さそうかなと感じます。

面白い論文でした。しかし、内科治療の場合、エルタペネム…。日本にないのでは?