野生医師@経済的自立を目指す勤務医

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【BMJ】重症患者のせん妄に関するレビュー

 2015 Jun 3;350:h2538. doi: 10.1136/bmj.h2538.

Outcome of delirium in critically ill patients: systematic review and meta-analysis.


せん妄と、重症患者の転帰が悪いことが関連していることはよく知られています。原因か結果なのかは分かりませんが…。
このトピックについてのレビュー論文です。

<内容>
せん妄はICU患者の31.8%に認められ、死亡率は2.2倍に上昇していた。
簡単に言うとこれだけです。

せん妄を防ぐために重要なことは
・しっかりと鎮静・鎮痛を効かせること(痛みなどの苦痛をとること)
ベンゾジアゼピンをなるべく使わない
ICUでの早期のリハビリ
・ある患者群には抗精神病薬を使う
・挿管、点滴などの処置をなるべく早くやめる
などです。

今後、せん妄患者の背景疾患や重症度に応じて分類して評価する研究が望まれます。
また、その際の目標(endpoint)について、医療資源をどのように使うか、長期的な認知機能、精神的な状態、身体機能の状態、QOLなど様々な側面から評価することが重要です。

<感想>
この研究はinstitutional funding(機関助成)によるものです。
せん妄の勉強にはなりますが、あまり新しい情報はありません。
せん妄になるということは、それくらい重症だとも言えて、現状の重症度スコアの限界を表しているようにも思えます。

いずれにしても、余計な処置や、ベンゾジアゼピン乱用を防ぐ、鎮痛・鎮静をしっかり行うなどは重要なことです。
ドルミカムミダゾラム)だけを使って病棟で挿管管理などを行う方も上の世代にはいますが、これなどはベンゾジアゼピン使用+鎮痛不足(ミダゾラムの鎮痛作用はほぼなし)ですから、せん妄の高リスク群です。
まあ、世代の問題でしょうか。