20-30代の勤務医向け③:お金の勉強
臨床の勉強はもちろん大切ですが、お金の勉強も並行して若いうちにやった方がいいです。特に、資産形成においては時間が価値を持ちます。
効果が出るまでに時間がかかるので、早期介入を行いましょう。
考えることは3つです。
①何歳まで、②いくらの資産所得
まず意識したいのが、何歳までにどのくらいの資産所得を得たいか。
この場合の資産所得とは、資産から投資によって得られる、いわゆる不労所得を指します。
要は投資で手っ取り早くアーリーリタイアしたいのか、手堅くリスク低く安定的に資産を増やしたいのか。
- 40歳までに資産所得が300万円
- 35歳までに資産所得が600万円
なのか、目標によって取るべきリスクが全然違います。
③許容できるリスク
目標所得が決まったら、取るリスクを考えます。
資産の利回りの目安は7%と考えています。
これは、アメリカ株の平均値(インデックス)の平均利回りです。
ざっくり言うなら、リスクを低く取りたければ3%、ほどほどなら7%、リスクを高く取りたければ10-20%くらいがいいでしょう。
経済学のリスクは医学のリスクと考え方が違い、ばらつきの大きさを意味します。
なので、高リスクの投資は高リターンも期待できますが、損の可能性も上がります。
試行回数を重ねると平均回帰するので、高くても7%くらいで設定するのが無難です。
これで、目標所得、目標利回りが決まったので、これで目標資産が決まります。
- 目標所得が300万円、目標利回りが3%なら、目標資産は1億円です。
- 目標所得が600万円、目標利回りが15%なら、目標資産は4000万円です。
目標資産を稼ぐまではリスクをとる
ここからが大事なのですが、目標資産を稼ぐまでは多少のリスクを取る必要があります。
50歳までに4000万円くらいの目標資産なら、そんなに急がずのんびりでもいいのでしょうが、40歳で1億円の資産を作るのであれば、計画的に増やす必要がありますし、それまでは目標利回りより高めのリスクを取った方がいいと、私は考えています。
というのは、勤務医はリスクを取ることが可能な職業だからです。
もし目標資産に届くのなら、その後は安泰ですし、もし高リスク投資で失敗しても、お金を稼ぐことを最優先にすれば回収可能です。
資産が小さいときに、教科書どおりのことを行っても、微々たる額しか資産所得が生じません。
多少はレバレッジをかける(FX, 不動産投資, オプション取引など)方法も経験しておく方がいいです。
資産が小さいときにこそたくさん失敗して自分に向いた投資を見つけることが大切です。
勤務医は趣味で医者をすることを目指そう
勤務医受難の時代に私がオススメする方法、それは「趣味で医者をする」ことを目指すものです。
決して収入を追い求めないわけではありません。期待しないことが大切です。
医師としてやりたいこと、目指したいことを考えたとき、収入という変数を外すことができると、とても自由度があがります。
お金がかからないなら、共同研究だってみんな喜んでしてくれます。セコセコと製薬会社をスポンサーにつけなくても、手弁当で勉強会をすればいいのです。
収入が下がっても気にしなくて構いません。趣味でお金が貰えるだけありがたいものです。
趣味なんですから、好きなことを勉強すればいいのです。
実際には、このくらい自由にしていた方が実績も出やすいですし、収入も下がらないとも思っています。
「医師とはかくあるべし!」みたいなタイプの方が危険です。技術の進歩によって淘汰される可能性があります。
趣味として医師をしていれば、いま何がアツいのか分かりますし、収入を意識しなければ、新しい勉強も簡単にできます。
結果的に、情報も人脈も築くことができるでしょう。
そうはいっても怖いです。これは。
どれだけ、今は自由な時代だとは言っても、趣味だけで高収入が得られるほど甘くはありません。
だから、橋頭堡というか、自分の経済的な砦を作ることが大切です。
安全圏があるからこそ、人はリスクを取れます。
このブログは、そのためのヒントをお届けできたらと思います。
私のおすすめは、ひとり法人、マイクロ法人を若い頃にもっておき社会保障のヘッジ、貯蓄しやすい環境を整えておくことです。
法人を持つことで考え方も変わりますし、社会勉強になります。多少の手間はかかりますが、金銭的な負担はないといってもいいです。
引き続きよろしくお願いします。
ベテラン勤務医はどこで働くのか
以前述べたように、勤務医の競争は激化します。
勤務医に生産性、つまりどれだけ診療報酬で稼ぐか、を求められる時代になってしまうと、ベテラン医師の行き先はなくなってしまいます。
元気な方は若手と張り合うでしょうが、いくら当直数を稼いで、プライベートの時間を削ったところで、結局は若手と同程度の給与水準がもらえる程度でしょうし、健康のためにもよくありません。
ベテラン医師の働き方
ではベテラン医師の行き先はどこになるでしょうか?
①医師不足地域の勤務医
これは一つの有力な選択肢です。医師不足地域はまだまだたくさんあります。
そういうところであれば人件費も高いです。
地方に住むということに不便を感じなければ満足度は高いでしょう。
②教育者としての生き残りは難しい
私は教育者としての医師の将来は明るくないと考えています。
なぜなら、「病院(雇用主)にとっておいしくないから」です。
病院の収入は診療報酬であり、患者を診療して入ってくるお金です。
そこで教育者としての医師を査定するのは、医師調達コストをどれだけ下げられるか、です。
つまり、その人をめあてに若手医師が集まるような、スター級の有名医師であれば、医師確保のために雇ってもらえるでしょう。
しかし、中途半端な指導医では意味がありません。病院にとってはそれよりも馬車馬のように働く若手医師の方が大切です。
そしてときどきスター級の医師を呼んで勉強会でも開けばいいのです。
中途半端な指導医を常勤で雇うのはコストです。
おそらく医局や専門医機構などの既得権益側はベテランの雇用維持のために指導医の人数規制などを導入するでしょうが、市場原理に反したもがきが成功するとは思えません。
③開業医
経営リスクをとって、開業するのは昔からあるキャリアパスです。
特に、事業承継などでいい立地・かかりつけ患者数の多いクリニックを引き継ぐことができれば安泰でしょう。
初期投資を抑えて地縁や人脈も揃っているのなら、60歳で開業することも可能です。
有力な選択肢ではあります。
暗い未来ではありません。これが今後の現実になるでしょう。
これまでのように年功序列にあぐらをかくことはできません。
私のおすすめは、ベテランという年齢になったときには趣味として医師を生きるという方法です。
20-30代の勤務医向け②:愚痴るのは絶対にやめるべき3つの理由
昨日は未来の話をしましたが、今日は現在の話。
医学の勉強をするのはもちろん大切ですが、それと同じくらい大切なのが成長マインドセットを身につけること。
一番まず気をつけて欲しいのが、絶対にグチるのをやめようということ。
グチがよくない理由は3つあります。
①フォロワーが離れていく
若手のあいだはともかく色々なチャンスをもらえます。
チャンスをくれる人との関係を大切にすることが大事。
そのためには、フォロワーを増やすことが大切です。
リアルな人間関係にしてもSNSにしても同様です。
仲間内で普段からグチっていたり、SNSでグチを書き連ねていくと、大切なフォロワーを失います。
大切な、フォロワーではありません。皆さんにチャンスをくれるような「大切なフォロワー」です。
SNSでは、グチを書くといいね!がついたりフォロワーがついたりしてなんとなく自己承認欲求が満たされます。
しかしそのフォロワーはステップアップのお手伝いはしてくれません。
フォロワーを増やす上でも、ネガティブな発言は避けたほうがいいという研究もあります。
②成長のチャンスを失っている
職場のグチ、人間関係のグチを言うのは、成長のチャンスを失っています。
成長マインドセットと言いますが、要するにすべてのことを自分事として捉える姿勢です。
これを手に入れられると、グチを言うことはなくなるはずです。
なぜなら、自分で物事を変えられるという感覚(自己効力感:self efficacy)を持つことができると、うまくいかないことがあっても、他人のせいにすることがなくなるからです。
同様に嫉妬もしなくなります。
上司が、患者さんが、いろんなうまくいかないこともあるでしょう。しかしそれを成長につなげるにはどうすればいいか?考えましょう。
がん診療ではよく、「患者さんが民間療法に逃げてしまった。悪徳業者に騙された。許せない。」などとグチる医師がいます。
それも事実でしょうが、その医師よりも悪徳業者の方が患者さんに信頼されたというのも事実です。
あまりに自分の患者さんが逃げられるようなら、その医師自身に問題があるでしょう。
グチる前に、まず目の前の患者さん、仕事に対してできることがないか、と思うことが大切です。
③無駄に感情がブレる
ネガティブな発言は負の感情につながります。
負の感情は伝染しやすいので、そのコミュニティ全体に負の感情が蔓延しやすくなります。
それによって、自身の自己肯定感は低くなり、いろんなことにチャレンジする気持ちも失われていきます。
なので、ネガティブな言葉を発する人とは距離を置きましょう。
あなたがグチをいうたびにあなたは他の人の感情を害し、成長機会を奪っています。
そして他の人のグチを聞くほど、あなたの感情は汚染され、成長する機会が減ります。
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今回述べたことは自己啓発ではありません。
モチベーションの話でもありません。
考え方の話です。
よく、やる気がないから仕事ができない、などと言う人がいいますが、そんなことはありません。
やる気がなくても仕事を続けることができるようにするのがプロです。
とかくSNSではインフルエンサーの言うことに乗っかってグチを書き連ねる人もいます。
それで著名人にいいね!やフォローなどのリアクションをされても、そのような人はあなたが困ったときに助けてくれません。
束の間のカタルシスを得られるかもしれませんが時間の無駄です。
特に中年くらいの医師がそうやっているのを、若手のみなさんは真似してはいけません。
グチを言いたくなるに至った感情をどうやって成長に繋げられるか考え、小さな成功体験を積み重ねることが大切です。
20-30代の勤務医向け①:やりたいことの優先順位をつけよう
前回、勤務医の将来は安泰ではないという話をしましたが、じゃあどうすればいいのか、というのを若手向けに書いてみます。
①やりたいことに優先順位をつける
若い学生さんや医師でよくいるのが、「まずは専門医をとって学位もとって、それから留学して、帰ってきたら異分野との共同研究とかもしたいです」という夢を語るタイプ。
素晴らしいです。その志は。
しかし、その夢は、どうみても自分の言葉ではありません。
医局の典型的なキャリアの域を出ていないからです。
それでは将来は暗いです。時代の変化に対応できません。
まず将来やりたいことに優先順位をつけましょう。
お金稼ぎ、医師としての技術修練、他分野との共同研究、家族の時間、女性関係、趣味、専門医などの資格取得、地域への貢献、アカデミックキャリア、知名度、、
変わっても問題ありません。
大切なのは自分の頭で考え、悩む癖をつけることです。
そうすれば、どんなに時代が変わっても本質を見失うことはありません。
例えば先程の例の方だと、明らかに専門医を取る必要がありません。
専門医制度が変わり、専門医制度更新のハードルがあがりました。
改悪とは言えますが、よく言えば、踏ん切りをつけやすくなりました。
つまり、一生専門医資格に頼る人以外は専門医を取る意味がなくなりました。
(一生専門医資格に頼る人…これまで見たことがないですが、専門医をとった直後に開業して、その人にとってのアイデンティティが専門医資格しかない人、とかでしょうか?)
本来は専門医資格は専門家キャリアとしての入り口を証明するものでしかないので、あまり取得自体に意味がありません。
自分のやりたいことが他の道にあるなら、わざわざ学会のおじいちゃまの作ったルールに従うのは時間の無駄です。
異分野との共同研究が最終的にしたいのなら、若いうちからした方がいいですし、わざわざ遠回りする必要はないでしょう。
そして、それをリスクが高い、つまり食えなくなるリスクがあると思うなら、そのヘッジは専門医資格や留学ではないはずです。
将来どんなことしたいの?と聞かれたら「将来は○○をしたい」、「○○な医師を目指しています」と一言で答えられるようにしましょう。
質問する側も、「何科に進みたいの?」というスケールの小さな話ではなく、その人の本質的な価値観を知る質問ができるようになりたいものです。
【週間FX成績】10/6−10/13(+6.7万円):結果論からの解釈は考えない方がいい
先週の利益報告
現在の証拠金原資が900万円なので、年利換算は66534*4*12/900=35.5%です。
現在のポジション
記載内容は、通貨ペア、ロング/ショート、トラップ幅/決済幅(pips)、ポジション単位(×100000)の順です。
①USD-JPYロング
25/75 ポジション単位0.07
決済6回
以下、すくみの4ポジション。
②AUD/JPYのショート 20/100 ポジション単位0.04
決済0回
③EUR/JPYのロング 30/140 ポジション単位0.04
決済5回
④EUR/USDのショート 20/70 ポジション単位0.04
決済0回
⑤AUD/USDのロング 25/120 ポジション単位0.04
決済0回
含み損
含み損は72万円です。(2019/10/13時点)
総括
トータル利益:102.5万円
なんだか突然リスクオン相場になったようで、含み損が縮小&円安相場となり決済も多発してくれました。
理由は色々説明されていますが、どれも継続的とは考えにくい。
結局カネ余り市場だから、みんなリスクを取りたくて、刹那的に飛びつくようになっているだけなんじゃないだろうか。
理由はどうあれ、こういう突発的な動きは大歓迎です。
大局的には円高相場が続くと予想しています。
そこで発生する今回のような波をしっかり拾っていけば、膨れ上がる含み損にも対応できますし、将来来るであろう大円安相場への備えが可能です。
今週もしばらくリスクオンかもしれませんが、トランプ大統領のtweetやトルコの動きなど、突発的な動きに注意しましょう。
医療絡みとしてコメントしておくと、米中問題でウイグル問題がそろそろ議題に上がると、中国も無視できなくなるんじゃないだろうか。
なぜ医療にも関係があるかというと、ウイグルの臓器が移植医療に使われているのではないかという噂が絶えないからです。
中東系の顧客に対しても、イスラム教徒であるウイグル教徒の臓器を、「ハラル臓器」として売っているとか…
実際、中国の移植医療は世界的にレベルが高いです。
そりゃ人権を無視した臓器提供者がいれば症例数も増えるし、レベルも上がるよなあ…
WHOが中国の移植医療を称賛したということもありますが、このあたりスルガ銀行や西武信用金庫を金融庁が称賛していたのと同じくらい危ういと感じます。
詳しくは下の本とか面白いです。
やっぱり平均値から外れたことやっているところは、どこかに歪みが生じていると考えるのが普通でしょう。
閑話休題。今週もリスク調整に気をつけて頑張りましょう。
勤務医の将来は思ったよりも茨の道
勤務医は将来安泰だと考える方が多いでしょう。
なぜその人達に、私が経済的自立を進めているのか。
今日はそこをご説明します。
思ったほど将来安泰な仕事ではありません。
そこをご説明します。
①皆保険制度の崩壊により病院の経営は悪化する
勤務医の給料の源泉は診療報酬、つまり税金です。
このまま国の成長が止まり高齢化が進むなら、いずれ勤務医の給与の源泉は小さくなります。
皆保険制度でカバーできる範囲も狭くなるでしょうし、病院の経営状況は悪化します。
介護業界のように利益率3%程度に抑える、などということが平然と行われるでしょう。
https://www.smbc.co.jp/hojin/report/investigationlecture/resources/pdf/3_00_CRSDReport063.pdf
これまで以上に、将来の病院は生産性の高い医師、つまり低賃金でたくさんの患者を診療する医師を求めることとなります。
②若手医師の増加による年功序列賃金の崩壊
現在医師数は増加しています。
つまり、皆さんよりも若い医師がたくさん生まれています。
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000203368.pdf
若手医師に負けない!と思っている方も多いでしょうが、若手医師は皆さんほどの給与は求めません。
それでいて、勤務時間を長くしても文句も言わず働きます。
「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」によると、男性医師の週あたり勤務時間は、
20代で64時間、30代で62時間、40代で58時間、50代で52時間です。
20代はまだ研修医レベルですので除外するとしても、30代の医師は50代の医師の1.2倍の勤務時間です。
週あたり勤務時間が長いと、医師の頭数も少なくて済みます。
しかも、診療報酬制度は誰が治療しても価格はかわりません。
したがって、患者一人当たりの診療報酬制度は医師の年代によってあまり変わりません。
つまり、病院の収入が増えるには医師一人あたりの患者数を増やすのが最も近道です。
かくして、病院は患者数をたくさん稼ぎ、勤務時間が長い医師を求めるようになります。
これが続くと、そして時代の変化によって価値観が変化すると、年功序列制の賃金が変化する可能性があります。
そうなると悲劇です。
私は、いまの30代の勤務医こそ最も割を食う世代になりうると考えています。
現在は後期研修医などで給与が低いわりにたくさん働いている方が多いでしょう。
しかし、本当は最も生産性が高いのはこの年代です。
そして、ベテランになったときには年功序列制が崩壊していて、病院からの給与は患者数が多い若手のほうが高くなる、という事態が起きます。
スキルは高いけど、家族もいるので高所得でありたい、けれども当直数は減らしたい、こんなベテラン医師は行き先を失う可能性があるのです。
なので、それでショックを受けないように、経済的に自立する、つまり医師以外の財布を育てておくことがリスクヘッジになると考えています。
専門知識、スキルを身につけるのは当然です。
しかし、医療以外の勉強を怠り、医師として「真面目」に盲目的に働き続けることはおすすめしません。
それは、アリとキリギリスでいう、「キリギリス」のキャリアです。
冬になって、音楽をがんばれば食っていけると思っていたのに、と嘆いても仕方ありません。
自分で考え、自分で備える、他者に期待しない、これが人生の大前提です。