【Lancet】心房細動に対してジゴキシン治療は悪か?
Digoxin use in patients with atrial fibrillation and adverse cardiovascular outcomes: a retrospective analysis of the Rivaroxaban Once Daily Oral Direct Factor Xa Inhibition Compared with Vitamin K Antagonism for Prevention of Stroke and Embolism Trial in Atrial Fibrillation (ROCKET AF).
<内容>
ジゴキシンを使用していた心房細動患者の転帰について調べた論文です。
なお、この論文はROCKET AF試験のデータを使ったレトロスペクティブな研究です。
ジゴキシンを使っている患者では、そうでない患者にくらべて死亡率が1.17倍に上昇していました。
<感想>
この研究は、ヤンセンファーマとバイエルによって研究費が出されています。
心房細動患者の脈拍を抑えるために使う薬として、陰性変力作用のないジゴキシンはよく使われています。
今回、ジゴキシン使用によって死亡率が上昇する可能性があることが示されました。しかし、正常洞調律(sinus rhythm)の心不全患者の大規模臨床試験であるDIG試験によって、ジゴキシンによって死亡率が上昇しないという結果が出ています。
少なくとも血中ジゴキシン濃度が1 ng/mL未満に維持されていれば害はないのでは、とも考えられます。
ジゴキシンが使えないとなると、陰性変力作用のある薬を使うか、アミオダロンのように副作用の強い薬を使うかになってしまい、選択肢が非常に制限されます。
心房細動患者の長期管理にジゴキシン投与という選択肢は、消さないほうが良さそうです。