野生医師@経済的自立を目指す勤務医

お金にこだわらず、趣味で勉強しながら医師をするために経済的自立を目指しています。年利10-20%を目標に運用しています。2020年は資産所得300万円/年を目指します。

【論文】居眠り運転の予防と対策 覚醒作用のある薬

覚醒作用のある薬…とは言っても、いわゆる覚せい剤ではありません。モダフィニルと呼ばれるような、神経を活性化させる作用を持つ薬で、通常はナルコレプシーによる過眠症状、つまり寝すぎてしまう人に対して使います。この薬を、睡眠不足の眠気覚ましに使うことについては、まだ十分なデータがなく、避けたほうが安全です。

八人の健康成人を対象にした研究があります。全員を徹夜で寝不足状態にした後、四人ずつのグループに分け、一方にはモダフィニルを投与、もう一方にはプラセボ(薬と見分けがつかないようにした、糖分などの錠剤)を投与しました。二時間後にドライブシミュレータを行ったところ、モダフィニル投与群の方が、プラセボ投与群よりもレーンを間違える回数が少ない結果でした。しかし、反射速度やスピードオーバー、道路への対応などは変化ありませんでした。一方で、実験を受けた被験者たちの自己評価は、モダフィニル投与群の方が高いという結果でした。これはモダフィニルの副作用で自己評価が高くなった可能性もあります。たった八人の研究がある程度ですので、安全性を確保するためには今後のさらなる研究が必要です。

たとえばOSA患者ではCPAPがあるように、居眠り運転の原因に応じてもっと安全な方法がありますので、現時点ではモダフィニルを睡眠不足に用いるのはやめておいた方が無難でしょう。

一方で、ナルコレプシーと診断されている場合には、モダフィニルが有効ですので、もちろん使用して問題ありません。

参考文献:
Gurtman, C.G., J.H. Broadbear, and J.R. Redman, Effects of modafinil on simulator driving and self-assessment of driving following sleep deprivation. Hum Psychopharmacol, 2008. 23(8): p. 681-92.