野生医師@経済的自立を目指す勤務医

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【NEJM】心停止を見たらとにかく心臓マッサージ

 2015 Jun 11;372(24):2307-15. doi: 10.1056/NEJMoa1405796.

Early cardiopulmonary resuscitation in out-of-hospital cardiac arrest.


 2015 Jun 11;372(24):2316-25. doi: 10.1056/NEJMoa1406038.

Mobile-phone dispatch of laypersons for CPR in out-of-hospital cardiac arrest.



2個セットの論文が目立ちます。これこそサラミ論文ではないかと思うのですが。
心停止について、心臓マッサージが重要であることは知られています。
また、不整脈による心停止ではAEDが有効であるため、AEDがあちこちに設置されています。
しかし、重要なのは心臓マッサージです。
左の画像にもかいてありますが、胸骨の中央部分に手のひらの付け根を置き、1分間に100回のペースで「強く、速く、絶えまない」胸骨圧迫を行うことが重要です。


出典: http://www.ko-cci.or.jp/aed/cardiac_massage/
話題を戻します。今回の論文は、心臓マッサージをトレーニングすることで救命出来る人が増えるのかどうかを研究しています。さらに、2つ目の論文では、携帯アプリを用いて、心臓マッサージをトレーニングした人を呼べるようにし、その効果を調べたというものです。
日本では、自動車免許取得時などに心臓マッサージのトレーニングは積みますが、実際にやるとなると難しいのが心臓マッサージです。
とにかく、思ったより強く押すことだと思います。

<内容>
対象…心停止患者
治療…救急隊到着前の心肺蘇生(CPR)、つまり心臓マッサージ
対照(比較対象)…CPRを救急隊到着前に行わない
評価項目…心停止後30日時点での生存率
結果…救急隊到着前にCPRを行ったときの生存率が10.5%と、CPRを行わない時の生存率4.0%を上回った。

対象…心停止患者
治療(介入)…心停止患者が出た際に携帯アプリを使って、CPR受講者をその心停止患者の下に促す。
対象(比較対象)…なにもしない
評価項目…傍らに救護車がいるCPRの割合
結果…携帯アプリがある群では、ない群とくらべて、CPRの際に傍らに人がいた割合が高かった。(62% vs 48%)

<感想>
前者はLaerdalという会社から、後者はスウェーデンストックホルムの研究費から資金提供を受けています。
心臓マッサージをしっかりしないといけない、そのためにはしっかりとした教育が必要で、さらにアプリなども使えるかもしれない、という話です。

日本にも応用可能かな?あんまり面白くない論文です。