野生医師@経済的自立を目指す勤務医

お金にこだわらず、趣味で勉強しながら医師をするために経済的自立を目指しています。年利10-20%を目標に運用しています。2020年は資産所得300万円/年を目指します。

【論文】居眠り運転を起こしやすいドライバー3/5

■鎮静剤、アルコールなどを使用している人

以下のように、種々の薬が眠気を引き起こすと言われています。
眠気を引き起こしやすい薬…ベンゾジアゼピン、麻薬、鎮静剤、バルビツール系睡眠薬、吐き気止め、抗けいれん薬、抗ヒスタミン薬、抗コリン薬、抗うつ薬、筋弛緩薬、抗精神病薬、抗パーキンソン病薬、血糖降下薬
特に、これらのうち複数を組み合わせて飲んでいると、眠気を起こす危険性が高まります。


ある研究では、特に眠気を起こす危険が高かったのは、以下のグループでした。(1)鎮静剤を新規に、または増量された人、(2)複数の鎮静剤を同時に服用している人、(3)高用量の鎮静剤を使っている人、(4)高齢者 最後の高齢者、というのは日本では特に社会問題となっていますが、いずれにせよ鎮静剤を飲んでいる人は薬のせいで日中に眠気が来る可能性もありますので、注意が必要です。


日本でも重要な、高齢者を対象とした研究もあります。まず、六七~八四歳の人を対象にしたものです。ベンゾジアゼピンを処方された最初の一週間で交通事故を起こす確率が五〇%増加するという結果でした。他には、入院が必要なほどの交通事故を起こした六〇歳以上の運転手を調べた研究があります。これによると、普通の人と比較した場合、交通事故を起こす危険がベンゾジアゼピンを服用していた場合には、五倍、抗うつ薬を服用していると一・八倍、麻薬を服用していると一・五倍でした。

ベンゾジアゼピンとは、抗不安薬として処方されることが多い薬です。高齢者に対して使用すると、認知症を悪化させる可能性があるとか (この結果を否定する論文もあり、まだ結論は出ていません)、転倒の危険が上がるなど、高齢者への処方には注意すべき薬として、注意喚起がされています。しかし、日本では、高齢者の睡眠薬として気軽に処方されることが多く、乱用が問題視されています。(読売新聞二〇一五年十二月二八日『在宅医療の高齢者、四八%に「不適切」薬…副作用も』)様々な影響のある薬ですが、交通事故にも影響を与えている可能性があります。


このような、鎮静作用のある薬や酒を摂取した場合、不眠と組み合わさることで居眠りの危険がさらに高まります。ある研究では、四時間睡眠+一杯のビールが、十分な睡眠+六杯のビールと同じくらい運転機能が落ちるという結果となりました。飲酒運転してしまうときは、大抵が忙しくて乗ってしまうということでしょうが、そんなときには大体寝不足になっている可能性があります。忙しい時ほど(もちろんいつでもですが)、飲酒運転は絶対に避けるべきです。

参考文献
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Billioti de Gage, S., et al., Benzodiazepine use and risk of Alzheimer's disease: case-control study. BMJ, 2014. 349: p. g5205.
Gray, S.L., et al., Benzodiazepine use and risk of incident dementia or cognitive decline: prospective population based study. BMJ, 2016. 352: p. i90.
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