野生医師@経済的自立を目指す勤務医

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【論文】居眠り運転を起こしやすいドライバー2/5

睡眠時無呼吸症候群など睡眠障害を持っている人

閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea: OSA)は、交通事故の危険を二~三倍に増やします。

一六の研究を分析したメタアナリシスによると、OSA患者が交通事故を起こす確率は、そうでない人にくらべて二・四倍に増加していました。特に、BMI、無呼吸低呼吸指数(一時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数)、低呼吸のひどさ、が高いとより危険が増すという結果でした。一部の研究では日中に眠気を感じる人で危険が増加していましたが、そうでない結果がでた研究もありました。つまり、自覚症状がなくても睡眠時無呼吸があれば、事故を起こしやすい可能性があるということです。

未治療OSA患者は、反応速度が低下したり、運転シミュレータでの操作を誤ったりしがちだと言われています。
ある研究では、低~中等度の未治療OSA患者が交通事故を起こす確率は、血中アルコール濃度が〇・〇六%の人よりも高い結果となりました。
この効果は、昼間の眠気を自覚するかどうかにかかわらず生じ、さらにアルコールや鎮静剤を使用していると増強しました。

OSA以外の睡眠障害でも居眠り運転事故の危険が高いと思われますが、そのデータは限られています。

ナルコレプシー(過眠症)
昼間に突然寝てしまう過眠症と呼ばれる病気で、日本で最も多いかもしれないと言われています。しかし、ナルコレプシーが運転に与える影響についてはデータが乏しく、一つの研究がある程度です。この研究は、七〇の健常運転手と、四二四人の様々な睡眠障害をもった運転手を比較した症例対照研究です。結果は、ナルコレプシー患者が最も居眠り運転を起こしがちであるというものでした。これだけでナルコレプシーが危険だと結論付けるのは早計ですが、居眠り運転を起こしやすいのは間違いないでしょう。

・慢性的な不眠症
不眠症は、交通事故の危険を増加させます。
一四年に及ぶ、ノルウェーの五四,三九九人の住民を対象とした研究では、自己申告で不眠症を持った人は、致死的な事故を起こす確率が二~三倍に増加していました。 一方で、不眠症に対して睡眠薬を使用することで運転能力が落ちる可能性もあります。特に、女性や高齢者でその危険が高いと言われています。


参考文献
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