野生医師@経済的自立を目指す勤務医

お金にこだわらず、趣味で勉強しながら医師をするために経済的自立を目指しています。年利10-20%を目標に運用しています。2020年は資産所得300万円/年を目指します。

【書評】ネアンデルタール人は私たちと交配した★★★

ネアンデルタール人は私たちと交配した (スヴァンテ ペーボ)

一言で言うと、面白い。もう一言つけくわえるなら、長い。
筆者は、考古学と分子生物学を交差させた第一人者のようです。
そのおかげで、博物館に無造作に置かれた化石や骨格標本が、過去のDNAが蓄積された貴重な標本室に変身を遂げました。

それまで何千年も前でDNAもほとんど残っていない骨格標本からDNAを抽出するなんて不可能だと思われてきました。
そこでブレイクスルーを起こした技術は、生物学を少しでもかじったことの有る方ならだれでも知っているPCR次世代シーケンサーです。
ともに、少量のDNAを増幅させる技術です。
PCR技術を考古学に導入することで、化石などに残っている程度のDNAでも増幅して解析することが可能だと証明されました。
次世代シーケンサーが導入された後には、ごく微量なDNAを増幅することが可能になったので、これまでよりも可能性が広がりました。

意外だったのは、DNAの解析にコンタミネーション(汚染)が非常によく起きることです。
気を抜くと現代人のDNAが混じってしまうというのは面白いです。
筆者も非常に神経質になっていたようです。

内容はなかなか面白いのですが、PCR次世代シーケンサーの説明など、科学に関する記述が長い。
筆者が科学者だから仕方ないかもしれませんが。

あと、筆者が自分のことをゲイだと思ってたらバイだった、とか色々突っ込みどころがある内容がサラッと書いてあります。
意外とプライベートがドロドロしていましたが、そのドロドロはあっさりと流されています。
読者はPCR技術よりもそっちの説明の方が興味あるのでは?

科学少年、科学をかじったことのある大人など、幅広くオススメできる本です。