野生医師@経済的自立を目指す勤務医

お金にこだわらず、趣味で勉強しながら医師をするために経済的自立を目指しています。年利10-20%を目標に運用しています。2020年は資産所得300万円/年を目指します。

【書評】ゼロ葬★★

0葬 ――あっさり死ぬ(島田 裕巳)

かなり挑発的なタイトルです。
マジメな宗教観を持っている方は、読まないほうがいいでしょう。
日本人的なというか、ぼんやりした宗教観の方であれば、読んでみるといいかもしれません。
筆者は、「葬式なんていらない」という主張の持ち主です。
それを論理付けるために、葬式の歴史から振り返っています。歴史の話は面白い。
個人的には、葬式不要論は1つの方法だとは思いますが、この本の論理には賛成できません。
筆者は、葬式はもともと仏教の教えではない、と言いますが、文化とはそもそも土着のものと融合して発展するものです。
葬式とは、日本土着の八百万の神の考えと結びついて発展してきたものです。
仏教ではないからいらない、なんて乱暴な。
そもそも本物の仏教徒自体日本にはそんなに多くないでしょう。

○読書メモ

葬儀業界は拡大傾向
2017年には売上高が2兆円規模に達する

そもそも、日本の葬儀費用は高い
 世界の葬儀費用(葬祭業者サン・ライフが1990年代前半に行った調査)
  アメリカ: 44.8万
  イギリス: 12.3万
  ドイツ: 19.8万
  韓国: 37.3万
  対して、日本の葬儀費用は231万(2007 日本消費者協会

戒名
 日本独特の文化で、『他の仏教国には、出家した僧侶が名乗る僧名はあっても、死者に授けられる戒名のようなものはない。』
 『被差別部落の死者に対しては、一目でそうとわかる戒名が付けられた。』
  戒名料のインフレ
   『1969年(昭和44年)の相場は、
   院号のつかない信士・信女(○○○○信士)→1万5000円以上
    院号のつく居士・大姉(△△院○○○○居士)→5万円以上
   さらにその上の院殿号(△△院殿○○○○大居士)→20万円以上』
 →『1979年(昭和54年)には、
   信士・信女で3万円以上、
   院号のつく居士・大姉で10万円以上、
   院殿号で50万円以上』

葬儀の発祥
 本来、仏教は「出家」という言葉にもあるように、先祖を供養する考え方はない。
 現在の葬儀は、もともとは、曹洞宗で修行中に死んだ雲水を弔うため
  →螢山紹瑾が、俗人へ応用(雲水が修行に専念するために、経済基盤とするため)

筆者の主張
もともとの仏教の教えではないのだから、現在の葬儀にこだわる必要はない。
ひっそりと亡くなる道もあり。