【書評】ふしぎなイギリス★★★
ふしぎなイギリス (講談社現代新書)
イギリスという、議会制民主主義を生み出しながら世襲制の君主制を維持する、独特な国の特徴について書いた本です。
現在でも、国王は下院に入らない、首相が定期的に国王と会談する、など驚くほど伝統が守られています。
ブレア首相がキツネ狩りを禁じようとした結果、大きく信用を失ったというのもイギリスらしいです。
全体としてまとまりはないですが、各項で様々な分野について述べられており、イギリスを理解するには勉強になります。
王室と政治との関係
もちろん、現在、王室は政治に表立っては干渉しません。しかし、イギリス国王は英連邦の国家元首であり、『英連邦首脳会議に出席する50ヵ国前後の首脳全員と個別に会見するのが常だ。全ての首脳に公平に5分前後の時間を割き、彼らの〝陳情〟を受ける』そうです。
当然、アジア重視の外交など思いもよらぬことですし、そのような政権が誕生したときに王室との関係が微妙になることは間違いありません。
さらに、『イギリスには成文憲法がなく、慣例が法やルールになる。逆に言うと、過去に例のない未体験ゾーンに入った場合は、ルールがない』ので、その際に臨時的に王室が判断を委ねられることもあるようです。
移民の問題
移民を受け入れることは、自由を重んじる国として重要なことです。『2014年のイギリスの純増移民数(入国移民から出国移民を差し引いた数)は29万8000人で前年から42%も増加している』そうです。
しかし、ロンドン同時テロの実行犯が移民2世のイスラム教徒であった、など重要な問題を起こしています。
IS関連の報道でも、所得格差によって、移民コミュニティのなかで疎外感がましていることが問題だと言われています。
EUとの関係
『欧州統合は、二度と戦争を繰り返さないという不戦の理念から生まれたプロジェクトであり、仏独にとって、統合とは本質的に政治的プロジェクト』であるのに対して、『1973年にEUの前身のEC(欧州共同体)に途中参加したイギリスにとって、統合は経済的なプロジェクト』であると。
ここに、イギリスと、独仏との温度差があるのでしょう。
他にも多くのことが書いてありました。一読の価値はあります。
イギリスという、議会制民主主義を生み出しながら世襲制の君主制を維持する、独特な国の特徴について書いた本です。
現在でも、国王は下院に入らない、首相が定期的に国王と会談する、など驚くほど伝統が守られています。
ブレア首相がキツネ狩りを禁じようとした結果、大きく信用を失ったというのもイギリスらしいです。
全体としてまとまりはないですが、各項で様々な分野について述べられており、イギリスを理解するには勉強になります。
王室と政治との関係
もちろん、現在、王室は政治に表立っては干渉しません。しかし、イギリス国王は英連邦の国家元首であり、『英連邦首脳会議に出席する50ヵ国前後の首脳全員と個別に会見するのが常だ。全ての首脳に公平に5分前後の時間を割き、彼らの〝陳情〟を受ける』そうです。
当然、アジア重視の外交など思いもよらぬことですし、そのような政権が誕生したときに王室との関係が微妙になることは間違いありません。
さらに、『イギリスには成文憲法がなく、慣例が法やルールになる。逆に言うと、過去に例のない未体験ゾーンに入った場合は、ルールがない』ので、その際に臨時的に王室が判断を委ねられることもあるようです。
移民の問題
移民を受け入れることは、自由を重んじる国として重要なことです。『2014年のイギリスの純増移民数(入国移民から出国移民を差し引いた数)は29万8000人で前年から42%も増加している』そうです。
しかし、ロンドン同時テロの実行犯が移民2世のイスラム教徒であった、など重要な問題を起こしています。
IS関連の報道でも、所得格差によって、移民コミュニティのなかで疎外感がましていることが問題だと言われています。
EUとの関係
『欧州統合は、二度と戦争を繰り返さないという不戦の理念から生まれたプロジェクトであり、仏独にとって、統合とは本質的に政治的プロジェクト』であるのに対して、『1973年にEUの前身のEC(欧州共同体)に途中参加したイギリスにとって、統合は経済的なプロジェクト』であると。
ここに、イギリスと、独仏との温度差があるのでしょう。
他にも多くのことが書いてありました。一読の価値はあります。