野生医師@経済的自立を目指す勤務医

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【JAMA】アメリカの急性脊髄損傷は高齢者の割合が増加している

Traumatic Spinal Cord Injury in the United States, 1993-2012

外傷性脊髄損傷は、長期にわたる障害につながり、QOLを損ねます。
しかし、その疫学についてはよくわかっていないため、しっかり調査したのがこの研究です。

<方法>
この研究は発生率のトレンドを追った研究なので、介入はしていませんし、対照もありません。

Patient: 「1993年から2012年までで入院した急性外傷性脊髄損傷患者」 を対象に
Outcome: 年齢、性別で分類し、急性外傷性脊髄損傷患者の疫学や入院死亡率を評価した。

<結果>
急性脊髄損傷の発生率は変わらないが、人口は増加しているため患者は増加している。
最も増えていたのは65歳から74歳までの群で、1993年には84人/100万人(全体で695人)だったのが、2012年には131人/100万人(全体で1465人)に増加していた。
さらに、高齢者の転倒に伴う脊髄損傷の割合は、28%から66%へと増加していた。

<資金>
Dr Jain is supported by funding from National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases project 1K23AR059199 and the Foundation for Physical Medicine and Rehabilitation. Drs Morse and Garshick are supported by VA Rehabilitation Research and Development Merit Review grants B6618R and I01RX000792, National Institute of Health grant AR059270, and US Department of Education National Institute on Disability and Rehabilitation Research grant H133N110010.
おそらく、製薬会社の資金提供は直接受けてはいなさそうです。

<感想>
脊髄損傷という切り口で見た場合でも、高齢者の転倒が問題になるという結果でした。
高齢者の転倒 "Fall" は、アメリカでは大きな問題となっています。
日本でも、ようやく転倒予防の運動などが注目されていますが、啓発はまだまだです。

今回の論文をまとめるならば、「昔は銃創や交通事故などで若年層の外傷性脊髄損傷も多かったが、今は高齢化で転倒によるものが増えてきている」という感じでしょうか。