野生医師@経済的自立を目指す勤務医

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【BMJ】子宮脱手術のメッシュ使用は合併症に注意

Use and risks of surgical mesh for pelvic organ prolapse surgery in women in New York state: population based cohort study

骨盤臓器脱、子宮脱という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
いわゆるヘルニアの一種ですが、加齢によって靭帯などがゆるみ、外性器から膣が飛び出た状態になってしまうものです。
尿失禁や頻尿など、生活に影響が出ることがあり、ひどい場合には手術が必要です。
80歳までに骨盤臓器脱及び尿失禁で外科的治療を受ける割合は11.1%(アメリカ)と言われています。
その手術の際に用いるメッシュについての論文です。
このメッシュは1996年から使われ始めていますが、2008年にはFDAから合併症によって再手術が必要になる可能性があることが警告されました。
さらに、2008年10月から2010年12月までに1503例の合併症報告がFDAに対してされています。

そのなかで、実際の合併症や件数の推移について調べたのが本研究です。

<方法>
Patient: 2008-2011年の間にニューヨーク州で子宮脱修復手術を受けた女性
Intervention: 「メッシュを用いた手術」 をすると、
Comparison: 「メッシュを用いない手術」 と比べて、

Outcome
Primary outcome: 90日時点での合併症、1年以内の再手術

<結果>
メッシュの手術数は2008年には1461例であったのが、2011年には2114例と、44.7%増加していました。

再手術について、メッシュを用いた群(3.3%)の用いない群(2.2%)に対するhazard ratioは1.47
合併症として尿閉を発症する割合は、hazard ratioが1.33
であった。

サブグループ解析を行ったところ65歳未満で再手術との関連、65歳以上で尿閉発症との関連を認めました。

<資金>
Funding: The study was funded in part through a UO1 grant (NIH-1U01FD004494-01) from the US National Institutes of Health and the FDA.
FDAからの資金提供で、製薬会社ではありません。

<感想>
FDAからの警告はありますが、メッシュを使用した手術の件数は増加しています。
再手術の危険は高いですが、手術自体が簡便になることなどの利益もあることと思われます。
ですが、そもそもヘルニアの手術は、靭帯や筋肉など、元から体にあるものを利用するのが基本です。
今後、メッシュを使うべき症例が絞られていくのかもしれません。