野生医師@経済的自立を目指す勤務医

お金にこだわらず、趣味で勉強しながら医師をするために経済的自立を目指しています。年利10-20%を目標に運用しています。2020年は資産所得300万円/年を目指します。

天津の化学火災にみる、化学災害の危険 日本は福島の経験を活かせるか?

天津の化学工場は近年では稀な大規模化学災害です。
化学災害は、目に見えない災害の1つです。Nuclear, biological, chemical の3つを合わせてNBC disasterと呼ばれます。
これらNBC disasterの特徴は、被害が目に見えないために、支援者である救急隊や消防隊のスタッフが被害を受ける可能性があることです。それだけでなく、被害者を治療する医療者にまで被害が及ぶこともあります。

天津火災は典型例で、犠牲者の半数以上が消防隊でした。
http://toyokeizai.net/articles/-/80681
中国の消防隊は、主力となる公安消防隊でさえも、2年の任期づきで配属される新兵で、ほぼ素人だそうです。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/218009/081700010
当然化学火災についての知識もないでしょう。『もともとは、非戦時下の兵士訓練の一環として民間の消防活動に従事させられる解放軍の伝統から始まった』とのことですが、そのまま現在に至るまで消防体制が変わらなかったとすると、恐るべき後進性です。

十分な知識がないまま現場に放り出され、加害者にも被害者にもなってしまったことは、悲劇としか言いようがありません。
再発防止のためには、専門の救急・消防スタッフの育成が早急に必要でしょう。

原子力発電所数が急増する中国で原子力災害が起きたとき、どのような事態が起きるか、想像を絶します。
日本の場合は、救急・消防スタッフのレベルは世界的にみても非常に高いと言えます。そのため、福島県原子力発電所の事故後にも、救急・消防スタッフが大活躍をしました。

NBC disasterのリスクは世界的に高まっています。最近では、イスラム国がマスタードガスを使ったという報道もありました。
http://www.sankei.com/world/news/150814/wor1508140012-n1.html
このように、テロリズムによって引き起こされるNBC disasterもあります。核兵器生物兵器化学兵器など、ISのような集団が所持すれば躊躇なく使う可能性があります。

これを文字通り対岸の火事としてはいけません。日本も、早急にNBC disasterの備えを整えなければなりません。しかし、原発事故に対する避難計画さえ不十分な状態で、テロに対する対策が整っているとは到底考えられません。
http://blogos.com/article/126202/
まだまだ、課題は山積です。