野生医師@経済的自立を目指す勤務医

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【Lancet】ACEとARBの併用で糖尿病性腎症の透析予防が可能

 2015 May 23;385(9982):2047-56. doi: 10.1016/S0140-6736(14)62459-4.

Comparative efficacy and safety of blood pressure-lowering agents in adults with diabetes and kidney disease: a network meta-analysis.


糖尿病性腎症(糖尿病が進んで腎臓にダメージが来ている状態)の患者に対して、どの降圧薬が効果があるかという研究です。これまで、ACE阻害薬、ARBの効果は証明されてきました。今回は、併用を試しています。

【内容】
合計43256人を対象とした157の研究をメタ解析した結果、ACEとARBの併用によって、末期腎疾患(ESRD: 透析や腎移植が必要な状態)に陥る確率が、プラセボに比べて0.62倍に下がりました。ARB単剤でも0.77倍へと低下していました。特に、タンパク尿のある2型糖尿病患者への効果を認めました。
しかし、死亡率を下げる降圧薬治療はありませんでした。

【感想】
この研究は、ニュージーランドのカンターベリー研究基金、イタリアの薬品庁?から研究費を得ています。企業ではなさそうです。
先日、透析を必要とする患者が増加する論文を紹介しました。透析は医療費高騰につながるので、それを防ぐためには糖尿病性腎症の管理は非常に重要です。
今回の研究は、ACE+ARBの併用によって糖尿病性腎症の透析を回避できる可能性があることを明らかにしたもので、非常に重要です。

死亡率を下げる効果がないということですが、実際は少しだけ下げる効果はあるのだと思います。統計的に差を出そうとすると大量の患者が必要でしょうが。
ディオバンの捏造以来ARBには逆風でしたが、やっと持ち直すでしょうか。というか、良い薬なんだから捏造しなくてもいいのになんであんなことするかなあ。