【書評】老後破産:長寿という悪夢 ★★★

老後破産:長寿という悪夢   NHKスペシャル取材班

【まとめ】
所要時間は１時間半。
いわゆる「下流老人」などのキャンペーンの先駆けと言える本です。
高齢者の貧困に興味がある方は必読です。

【筆者紹介】
NHK取材班は、これまでにも孤独死問題を取りあげたり、なかなかいい仕事をしているなと感じます。

【感想】
高齢者の貧困問題について書かれています。各事例はなかなか切実なものです。
さて、貧困問題の対策はどのようにすべきなのでしょうか。

悲惨な事例があることは認めますが、なかなか積極的な支援策は財政事情からも許されないでしょう。

「助けを求めない方に対しての支援が少ない」というのが困難です。
単に知識不足の方もいますが、支援策は知っていても「人に迷惑をかけたくない」と支援を拒否する方もいる。
後者の方を支援するのは本当に難しいでしょう。
何より本人が拒否している以上、支援が必要なのか本当に考えなければいけません。

1億総活躍などという言葉は聞こえはいいですが、ウラを返すと「税金を払わないやつは意味がない」などという思想につながりかねません。
医療者としては、「税金を納めていようがいまいが、みんなそれぞれ活躍しているんだ」、というおおらかな価値観を持ちたいものです。

高齢者の貧困問題に興味がある方は必読です。
が、統計情報などはあまりありません。

個別事例についてはよく取材したな、と思う内容が多いですが、もう少し背景の統計情報などを教えてほしいな、と感じます。

高齢者の貧困問題に興味がある方は、以下の本もおすすめです。
筆者は、本書にも名前が出てきます。

【書評】老人に冷たい国・日本　「貧困と社会的孤立」の現実★★★★