【書評】感染症の世界史:賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ
正直まだまだ分からないことが多く、確実なことは何もありません。
抗体検査、抗原検査、PCR検査など様々な検査方法がありますが、精度もまだ高くありませんし、どのように使うかは目的によります。
無症状の人に対して使ったところで潜在的な感染者が炙り出せるわけではないですし、今のところ使う意義はなさそうです。
感染の広がりにしても、無症状、有症状の患者どちらが感染拡大に影響が出るのかも意見が割れています。
なので、コロナに関して断定的な意見を言える人は誰もいません。
そのような情報に出会っても混乱するだけです。
今のような状況では、過去の感染症の歴史を知ることが重要と考えています。
過去、スペインかぜ、天然痘など、コロナウイルスを超える規模で広がった感染症は多数あります。
そのような病気がどのような影響を人間世界に及ぼしたか、そしてどのように人間と共存していったかを知ると、今後のおおまかな予想がしやすくなります。
感染症に絞って書いた本書は、流れが追いやすくおすすめです。
お金をちゃんと考えることから逃げまわっていたぼくらへ★★★★
お金をちゃんと考えることから逃げまわっていたぼくらへ (PHP文庫)
- 作者: 糸井重里,邱永漢
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2015/08/14
- メディア: Kindle版
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糸井重里氏と、「金儲けの神様」と呼ばれた邱永漢(きゅうえいかん)氏との対談本です。
これは面白かった。
特に、邱永漢氏の、子供に対する教育方法は見事です。
「留学した子供に、まず1年分の費用を渡して自由に使わせる」、
「母親に『懐の金の底を見せる人にはなるな』と言われた」、
など、確かにと思わせることが書いてあります。
日本人のお金アレルギーは、日本独特のものではないか、という邱永漢氏。
最高階級である武士は宮仕えを前提とする仕事で、
しかも江戸時代には石高と実際の給金が合わないという状態でした。
その建前と本音の間で、プライドを保つために
「お金のために働くのではない」
という文化を作り上げたのだ、と言います。
確かに面白い視点です。
戦国時代などにはこんなことがなかったはずなのに、
平和な江戸時代になって価値観が濁ってしまったのだと思います。
サラリーマンでも勤務医でも、個人事業主のように生活出来ないかと思ってしまいます。
【書評】★★★★不動産投資の最大公約数がわかる本。最初に読むにはおすすめ
不動産投資の本のご紹介です。
書籍情報
タイトル:『1000年使える不動産投資最強成功術 失敗しない人だけが知っている不動産経営の定番』
1000年使える不動産投資最強成功術 失敗しない人だけが知っている不動産経営の定番
- 作者: アユカワタカヲ
- 出版社/メーカー: ごきげんビジネス出版
- 発売日: 2019/07/26
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
著者:アユカワタカヲ氏。不動産投資家、セミナーなどをよくされているようです。
感想
おすすめ(5点満点):★★★★☆
おすすめです。
具体的な話は少ないですが、区分、一棟、戸建てすべてに共通するような話が書いてあります。
心構えやどのような意識で望むか、などのtipsは結構ためになります。
購入前の注意点
融資を受けるときには、繰り上げ返済の違約金を必ずチェックすべき。
面談時には
「不動産投資」「キャッシュフロー」「いずれ売却してキャピタルゲインを得たい」
これらがNGワード
物件の選定方法
DSCR (Debt Service Coverage Ratio) = NOI(償却前営業利益)÷借入金返済額
いわゆる返済比率の逆数にあたります。
これが1.2以上であるべきというのが銀行の考え方。
つまり、ローン返済額が家賃収入の5/6=83%以下であるべきということです。
戸建て投資などを勧める本では返済比率6割くらいを推奨しています。
リフォームなどの必要経費がどのくらいかかるかによって決めるのがいいのでしょう。
これは特に、高所得サラリーマンは知っておいたほうがいいでしょう。物件があまりよくなくても個人の与信で融資が引けてしまうので、クズ物件でも買えてしまいます。さらに、業者もそれを知っているので売りつけやすい状況です。
物件を定量的に評価できる方法を知っておき、いい物件のみを買いましょう。
購入後の注意点
管理会社の選び方
『一般的には、 100室以上の管理物件を抱えて、 95 パーセント以上を誇る会社が安心』
地震・火災保険
『区分マンションの場合は、もっとも安い火災保険で、一棟の場合は手厚い保険、また木造物件には地震保険に入り、鉄骨造、コンクリート造の物件には地震保険に入っていません。』
リフォーム代
『「家賃の3ヶ月分」か 「5千円× 24 = 12 万円 の少ないほう』が目安。
売却の心構え
『区分の場合は、1年程の時間的余裕を持って、一棟の場合は2~3年掛けて売るぐらいの精神的余裕を持つことが大切』
『区分の場合は、同じマンションでのこれまでの売買実績を調べてみましょう。仲介会社にお願いするとデータを集めてくれます。過去のデータから、一番高い価格での売却を目指してください。そして心の中で「最低でも○万円以上で売る」という目標のもと、交渉に臨んでください。』
【書評】勤務医に不動産投資は追い風。だがその前に読むべき本
不動産投資の悪徳業者にフォーカスして、その手口を書いた本。
特に、不動産投資でカモにされやすい高所得サラリーマンや医師などの士業の方にはおすすめです。
業界の8〜9割は悪徳業者だと言われています。
実際、そのとおりでしょう。
まず大切なのは、その物件の相場、空室状況は必ず確認すること。
現地に行けばどのような住民層が住んでいるか分かります。
さらにネットでも、楽待などで同じ物件があれば売り出し価格は少なくともわかります(成約価格ではないので、実際に取引される価格はもっと安いことに注意)し、SUUMOなどで賃貸情報を調べれば、賃貸を募集している、つまり空室がどのくらいあるか分かります。
ついでに家賃相場も分かります。
そうすれば、現在の価格、利回りがどのくらい楽観的なものかが分かります。
これは心理学でも明らかになっていますが、人間はあまりに多額だと思考が鈍り、節約、値切るなどの交渉をしなくなります。
なので、野菜の数十円は値切るのに、割高なマイホームはぱっと見ただけで買ってしまうのです。
不動産投資においては、まず不動産業者との関係づくりが大事です。
そして、最初の一軒をよく吟味して購入しましょう。
さらに、その一軒が想定されていたキャッシュフローを生まないのであれば、そこで不動産投資から手を引くべきです。
間違っても、損失をカバーするためにもう一軒という考え方はやめましょう。
家賃収入がいくら増えても、借入返済額がそれを上回っていればキャッシュフローはプラスになりません。すると返済に苦しむことになります。
巷の不動産投資サイトでは家賃収入○千万などという数字が舞い踊っていますが、その人達の本当のキャッシュフローは誰にも分かりません。
このブログを読む方々は若い方々でしょうから、キャッシュフローがマイナスになるようなら投資はおすすめしません。
家賃1億円で返済額1億2千万円よりも、家賃120万円で返済額100万円の投資の方が目指す姿です。
それを損切りができず、同じ業者からさらに質の悪い物件を買わされることになると、どんどん損失が膨らんでしまいます。
色々書きましたが、勤務医や高所得サラリーマンなどカモにされやすい方々にとっては追い風な相場であることも事実です。
特に、スルガ銀行が絡んだ物件に関しては、割安で市場に流れてくることもあるようです。
そのなかで、属性の高い方々は他の金融機関も安心して融資をつけやすいので、取引もスムーズにいきます。
ただあくまでも投資は自己責任だということを忘れずに。
業者は取引成立で儲けています。長期でコミットしてくれる業者はあまりいません。(長期でコミットとはいえサブリースは最悪です。)
そこに気をつけてください。
【書評】法人設立の利点を知りたいならこの本
私は、勤務医の人たちはみんな法人を作ったほうがいいと考えています。
ざっくりまとめるなら以下です。
最近読んだなかで、これをわかりやすくまとめてある本を見つけました。
貧乏はお金持ち 「雇われない生き方」で格差社会を逆転する (講談社+α文庫)
- 作者: 橘玲
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/07/05
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
勤務医が上記の本を参考にするときには少しカスタマイズが必要です。
・法人の所得は産業医や資産運用くらい。
勤務医の場合難しいのは、給与所得を法人に移動できないところ。
保険医としての勤務医の報酬を業務委託契約に切り替えることはできません。
これはすでに判例も出ていますのでアウトです。
フリーの麻酔科でこのようなことをやっている人もいるようですが、アウトですのでおすすめしません。
一方で、嘱託産業医や講演など、保険医としてではない所得は法人に移動可能です。
私の場合は、原稿料、講演料、あとは資産運用をすべて法人に移行するために法人を設立しました。
したがって、橘氏がおすすめするように国保への加入は勤務医法人の場合おすすめしません。
保険は以下の方法がおすすめ
・常勤医の場合→法人では保険加入しない(誰にも役員報酬を支払わない形)
・非常勤医の場合→法人から自分に少額の役員報酬を支払って、厚生年金保険に加入する
勤務医だけでなく、業務委託契約に切り替えられないサラリーマンの方も参考にしてください。
法人をつくってよかったことは、金銭面もそうですが、自分の考え方が変わったことが一番です。
自分、法人という2つの人格・財布ができるため、会社に依存しない財布の活用方法などを考えることができ、自立した考え方を持つことができます。
【書評】椅子から立って歩こう『サピエンス異変――新たな時代「人新世」の衝撃』
この本は面白かった。
皆さんは、椅子がいつ広まったかご存知ですか?
なんと18世紀のビクトリア朝のときです。
産業革命後の工場労働によって、長時間労働を可能にするために椅子が広まりました。
このときって諸々社会の転機点ですね。
社会が豊かになったとも言えますが、産業革命による社会の変化が、人間をヒトから現代人に変わっていきます。
企業人として働くことが一般的になり、企業で働けるように公的教育が始まります。
そこで生まれたのが優生思想。
国民みんなに教育を提供しよう!そのためには教育に値しない子供を間引きしよう!という発想。
当初はこの思想を様々なエリートが賛成していた、というのが恐ろしいところ。
どんな思想も最初は「正しい」と思われることを目標としています。
それが悪用されたとき、濫用されたときを常に恐れておく必要があります。
話がそれました。現代がいかにヒトとして生理的に不自然な環境を強いているか、本書は教えてくれます。
これを読むと、少しは歩こうと思えると思います。
まずは1日10分から、お散歩することをおすすめします。
【書評】読んだら忘れない読書術★★
【まとめ】
30分で読める本。おもしろいが再読はない。
【筆者紹介】
筆者は精神科医。大量の書籍・論文を読み講演をこなす情報処理術を公開する、というスタンスです。
【感想】
ポイントは以下の3つです。
・1週間に3回アウトプットする。
・読んだ後、内容をディスカッションできるような読書の質を心がける
・買う買わないは1分で決める
私がブログで書評を書くのも、読んだ内容を忘れないようにするのが一義的な理由です。
筆者は、読書のスピードよりも質を重視します。
確かに、内容をディスカッションできるような質は重要でしょう。
とはいえ、量が質に転化することも真だと思うので、大量に読書できるための速読なども重要だとは思います。
買うかどうか1分で決めるのは面白いですね。確かに、あれこれ迷うようなら買ってしまえばいいのかもしれません。